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パブリッククラウド環境の半分のコストで基盤整備を実現

1000VMの安定稼働に貢献するVMware Cloud Foundation 気象コンサルティングサービスのパイオニアである一般財団法人日本気象協会では、気象データをさまざまな形で顧客にサービス提供するための事業基盤として、安定した稼働実績を誇るVMwareソリューションを長年活用してきましたが、今回ハードウェア更改に合わせ、プライベートクラウド環境としてVMware Cloud Foundationを採用しました。パフォーマンス向上に貢献するVMware vSAN Express Storage Architectureやランサムウェア対策を目指したVMware vDefend実装など、ミッションクリティカルなサービスを支える強固な仮想基盤への刷新を実現しています。 【課題】増え続ける気象データへの対応、保守切れによって基盤刷新に  一般財団法人日本気象協会は、1950年の設立以来、気象・環境・エネルギー・防災などに関わる調査解析や情報提供を行う、日本における気象コンサルティングサービスのパイオニアです。これらの分野における企画提案から調査、データ解析、情報提供、コンサルティングまでをワンストップで提供できる業界唯一の存在として、気象やエネルギーに関するマネジメントをはじめ、需要予測サービスや交通運行支援/運航支援に資するコンサルティングサービスといった法人向けのサービスを中心に事業を展開しています。  日本気象協会では、大量の気象データの完全性を維持しながら、エネルギーの需要予測や河川・ダム管理といったミッションクリティカルな各種サービスにつなげていく必要があり、堅牢かつ可用性の高いインフラづくりが必要不可欠です。そんなインフラの中核として活用してきたのが、VMware vSphereをはじめとしたVMwareソリューションによる仮想基盤です。執行役員 最高情報責任者(CIO)藏田 英之氏は「2008年の段階で業務基盤全体の仮想化を実施しており、基盤刷新はこれまで何度か経験してきました。最近では予測に利用する気象モデルで時間や空間などより詳細なデータを扱うようになり、情報量は増え続けています。そんな状況下でも、安定稼働できる基盤整備は常に求められています」と説明します。 「企業環境の大きな変化があるなかで、正直従前のように手厚く支援いただけるか心配もありました。それでも、しっかりとした情報提供や課題に対するサポートなど、長年安定して得られていた支援を継続して提供いただけたことは何より」  そんな折、既存環境のハードウェアが保守切れを迎えることになり、新たな環境整備が求められました。情報戦略部 副部長下田 晋也氏は「業務基盤全体では2500を超える仮想マシンを運用していますが、今回はおよそ1000台の仮想マシンが稼働するサーバー群が刷新の対象でした。実は2017年の段階でvSANを導入してオールフラッシュ化を行っており、ストレージ性能についての課題は解消しています。ただ、刷新時には数年後を見据えたうえでのサイジングが必要で、正直難しい部分もあります。最近では、データ量の急増でCPUやメモリなどのリソース不足が一部懸念されていました」と語ります。  他にもバックアップの頻度向上や脅威の高まるランサムウェア対策などについても潜在的な課題があり、バックアップの高度化とマイクロセグメンテーションの実装についても検討が進められていたのです。下田氏は「特にランサムウェア対策は社会から求められるレベルです。また気象情報の特性上、過去よりも現状から先の情報がより重視される傾向にあるため、いかにサービス停止を短くして迅速に復旧できるかについての検討も必要でした」と語ります。 「VMware Cloud Foundation Operationsから得られた利用状況を加味したうえで、最適なアセスメントを実施していただきました。高いコスト効果が得られる環境を整備することができて感謝しています」 【ソリューション】2倍の費用が必要なパブリック、プライベートクラウドが最適だと判断  新たな環境づくりでは、既存環境からの無停止での移行を念頭に、VMwareを第一候補に挙げ、当初はオンプレミスとクラウドでのハイブリッド環境を見据えて検討しました。そこで、データセンター内でVMware Cloud Foundationを動かすプライベートクラウドとともに、AWSのクラウド上で利用できるサービスとしてのVMware Cloud on AWS、そしてAWS上で環境を整備するネイティブクラウドの3つで比較検討を実施。実際の利用状況を考慮すべく、VMware Cloud Foundation Operationsを利用してアセスメントを実施しました。  アセスメントの結果としてコスト面での大きなアドバンテージがあったのが、プライベートクラウド環境で利用するVMware Cloud Foundationでした。AWSネイティブの場合は仮想マシンごとに費用が発生しますが、VMware Cloud Foundationであれば物理サーバーのコア数課金のため、ハードウェアの集約率が高い日本気象協会の環境にはオンプレミスのほうがコストメリットは大きかったのです。同部 情報システム課 共通基盤G グループリーダー 戸髙 弘統氏は「地域ごとに気象情報が異なるため、共通化しにくい部分が多く、ハードウェアに対する仮想マシンの数が多くなる傾向にあります。ラインセス費用はもちろんですが、移行時に発生する見えない費用も含めて考えると、かなりの費用差がありました」と説明します。AWSネイティブとの比較では、2倍ほどコスト差がありました。  費用面とともに、サイジングや機能に対する提案、ハードウェアメーカとの調整などVMwareの手厚い支援についても高く評価しました。実際には、IOPS性能を2倍にまで高めることでバックアップ時のスナップショットの時間短縮などリソース不足解消に貢献するVMware vSAN Express Storage Architectureや、マイクロセグメンテーションが可能なVMware vDefendによるランサムウェア対策など、既存環境の踏襲に留まらない快適な環境づくりへの提案が行われました。  結果として、プライベートクラウド環境でのVMware Cloud Foundationを軸に、新たな環境への移行を決断しました。 […]